RPAだけじゃない!成功事例に学ぶ業務効率化戦略
RPAによる業務効率化が普及する一方、生成AIやローコード・ノーコードなどの開発ツールも進化し、業務効率化施策の選択肢は広がっています。本記事では、業務効率化を推進するポイントと、ここ数年で実現可能となった業務効率化事例をご紹介します。
本記事は、2024年3月に開催されたウェビナー「5つの成功事例から学ぶ業務効率化戦略」を一部抜粋した概要記事となっております。ウェビナーの全編は、無料でアーカイブ動画にて視聴いただけます。
東京商工会議所の調査によると、中小企業の約7割が人手不足を実感しており、そのうち6割以上が「非常に深刻」または「深刻」と回答しています。労働人口の減少と採用難に直面している企業にとって、既存の人材でいかに業務効率を上げるかは喫緊の課題です。
また、業務効率化は労働時間の最適化や生産性の向上、組織強化だけでなく、社員の満足度やモチベーションの向上などの効果をもたらすことからも、多くの企業にとって重要な取り組みと言えます。
※ウェビナー資料
②ECRS(イクルス)で改善策を考える
ECRSとは、Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(再配置)、Simplify(簡素化)の英語の頭文字をとったもので、E→C→R→Sの順に進めることで業務の改善ポイントを効率的に洗い出すことができるフレームワークです。
業務改善策を検討する際に重要なことは、まずは効率化できる業務の洗い出しを行い、IT導入の検討は最後にするという点です。業務効率化の手段として、多くの企業がITツールを導入していますが、「ITの導入によって改善できる業務は何か」という考えが先行すると、業務自体の改善ポイントを見落とす可能性があるため、注意が必要です。
また、ITツールを導入する際は、ITツールの持ち味を活かした活用を検討することが大切です。
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こちらは、RPAによる自動化の相談を頂きましたが、ヒアリングの結果、Excel標準機能である
「Power Query」による自動化が効率的と判断し、実装した事例です。
【ご要望】
新型コロナウイルスの新規感染者数を厚生労働省のWebサイトから日次でダウンロードし、
データを基に作成したExcel資料を関連施設に配布。各施設の感染対策に役立てる。
【お客様の検討案】~RPAによる自動化~
RPAが
- 厚生労働省のWebサイトにアクセス
- 新規感染者数をダウンロード
- ダウンロードしたCSVファイルを、Excelマスタシートへ貼り付け(自動で資料改訂)
- 改訂されたマスタシートを日次配布
→各施設で、マスタシートをもとに増加傾向を把握し、対策を検討
【ご提案した解決策】~Excel Power Queryによる自動化~
Excel Power Queryで
- 厚生労働省のWebサイトから新規感染者数のデータを取得するよう設定
- 各施設の担当者がExcelのマスタシートを開く度に、最新の新規感染者数を自動取得し、反映するよう設定
→設定済みのマスタシートを関連施設に一度送付すれば、
以降は、担当者がそのExcelを開くだけで最新の情報を取得できる
【Excel Power Queryを採用した理由】
- RPAで自動化するよりも効率よく、リアルタイムにデータを確認できる
- Power QueryでWebサイトからデータを取得し、データの変換や結合を行える
- 日次で作成したExcelシートを、RPAで毎日送付する必要がない
※Power QueryはWebサイトからのデータ取得だけでなく、MySQLやSQL Serverといったデータベースからのデータ取得も可能です
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【ご要望】
各拠点の担当者(50名)が、電力会社の請求書を月次で確認し、電力量や請求額をシステムに転記。
入力忘れや入力ミスが発生しており、自動化を検討。
【自動化する前】
- 各拠点の担当者(50名)が、電力会社のWebサイトから請求書をダウンロード
- 請求書に記載されている電力量や請求額をシステムへ転記入力
→入力忘れや入力ミスが発生
【ご提案した解決策】
- RPAが電力会社のWebサイトから50拠点の請求書をダウンロード
- 請求書から必要なデータを抽出し、インポート用のCSVファイルを作成
- 請求書(CSV)についてはRPAでデータを抽出
- 請求書(PDF)は「Python」を使った読み取り+データ抽出
- 担当者が作成されたCSVファイルを確認しシステムへ一括インポート
【Pythonを採用した理由】
- AI-OCRの場合、同じ請求書でも明細行が異なると正しく読み取れず、
請求書のレイアウト毎にAI-OCRを設定する必要があったため - RPAではPDF内のデータ読み取りが困難であったため
- 一般的に手書き文字の読み取りはAI-OCRが適しているものの、
活字であればPythonでも高い精度で読み取りが可能なため
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先程のお客様では、技術の進歩に伴い、図のような変遷をたどって業務の効率化を進めています。
(3年前)50拠点分の請求書ダウンロード(手作業)をRPAで自動化
(2年前)AI-OCRでデータ抽出の仕組みを構築
(1年前)AI-OCRでデータを抽出する際、請求書のレイアウトが少しでも異なると
正しく抽出されず、次第に使われなくなり、元の手作業へ
(現在)Pythonを利用し、PDFからテキストデータを抽出する方法に転換
先ほどご紹介した活字の読み取りとデータを抽出するPythonプログラムは、弊社にて作成・提供しておりますが、ある程度Pythonを学ばれた方であれば生成AIなどにサポートしてもらいながら、プログラムを実装することも可能となっています。このように、近年では、より柔軟かつ効果的に業務効率化を実現することができるようになってきました。
まとめ
人手不足の状況のなかで業務効率化を推進するには、ECRSを始めとしたフレームワークを活用するなど、手順に則って進めることが重要です。また、ITツールの導入を前提とした業務効率化を検討する場合であっても、まずは効率化できる業務を洗い出してみることが大切です。
数年前はコストや技術的な面で諦めていた施策も、生成AIやPython、Power Query等さまざまなツールの進化により選択肢が広がっています。進化する技術情報もキャッチアップしながら、自社にとって最適な施策を選択していくことが必要でしょう。
ウェビナー「5つの成功事例から学ぶ業務効率化戦略」では、本記事でご紹介しきれなかった成功事例のほか「業務効率化を推進する人材の育成方法」についてもご紹介しております。「明日から取り組める内容」をテーマに比較的取り組みやすい事例をご紹介しておりますので、ぜひご覧いただき、業務効率化の参考にしてください。
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